「モバイル市場の競争環境に関する研究会」が発足したみたいなので、目的とかをまとめてみる

最近、菅官房長官が日本の携帯電話料金についてコメント※1しているニュースが記憶にあり、更には「総務省、携帯電話料金改善へ本腰 – ITmedia NEWS」のニュースがあったので、気になり、この研究会について少し調べてみたので、ここに個人の感想と共にまとめてみます。

研究会に関しては、[総務省のホームページ](http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/mobile_market_competition/index.html)に公式の記載があります。

研究会の目的

まず、研究会の目的は、

本研究会では、情報通信を取り巻く環境の変化を踏まえ、利用者利益の向上が図られるよう、モバイル市場における事業者間の公正競争を更に促進し、多様なサービスが低廉な料金で利用できる環境を整備するための方策について検討を行います。

です。

目的本文を噛み砕くと以下になると思います。

  1. 利用者利益の向上
  2. 事業者間の公正競争
  3. 多様なサービスが低廉な料金で利用できる環境を整備

個人的な感想

個人的にはなかなか難しいテーマだなと思います。
まず、「1. 利用者利益の向上」については、何が利用者の利益なのかが不透明です。サービスの品質なのかサービス料金なのか。個人的には利用者の利益って三者三様であると考えるので、利用者の利益を定義することも難しいかなぁと思います。
そして、「2. 事業者間の公正競争」については、公正な競争というのは市場原理に基づいていると個人的には考えているため、これも何を判断に公正というのかは難しいなぁと思います。そもそも電波を国(政府)が管理し、それを特定の業者にしか卸していない時点で公正な競争なんて生まれないと思うのですが…。
最後に、「3. 多様なサービスが低廉な料金で利用できる環境を整備」については、これまでの政策のおかげで、MVNOが生まれたりし、以前に比べれば低料金でサービスを利用できる環境が整ってきたと考えています。また、今後はIoTなどの多様なサービスが今後も増え続けると考えると、それらサービスを低料金で利用できるようになることは望ましい状況ですね。ただし、いつの時代もそうだと思いますが、最新技術や未開拓の分野というのは高コストとなってしまいます。(最近はITで色々なものやサービスが低価格に収まってきたが)低価格への一番の方法は、大量生産や大量消費であるため、それを政策で援助できるのであれば多様なサービスを低料金で利用できるようになるのではないかと考えます。

検討事項

研究会での検討事項は以下の3つです。

  1. 事業者間の競争条件について
  2. 利用者料金その他の提供条件について
  3. その他

個人的な感想

目的を紐付けると、以下の表のようになるのかな。

目的検討事項
1. 利用者利益の向上
2. 事業者間の公正競争 1. 事業者間の競争条件について
3. 多様なサービスが低廉な料金で利用できる環境を整備2. 利用者料金その他の提供条件について
3. その他

利用者利益については、特には検討しないらしい。まぁ、定義が難しいよね。
目的の「3. 多様なサービスが低廉な料金で利用できる環境を整備」に対して、検討「2. 利用者料金その他の提供条件について」の場合、利用者料金って「スマホの通信費」のことのような気がするんやけど…。それだと、方向性が違うような…。なんか政府の意図を感じますね。どちらかというと「多様なサービス」に目を向けてやるべきなんじゃないのかなぁ。
検討事項「3. その他」は何をやるんだろう…。

構成員

研究会の構成員は以下の方々です。

(座長代理)
相田 仁   東京大学大学院 工学系研究科 教授 
大谷 和子  株式会社日本総合研究所 執行役員 法務部長 
大橋 弘   東京大学 公共政策大学院・大学院経済学研究科 教授 
北 俊一   株式会社野村総合研究所 パートナー 
佐藤 治正  甲南大学 マネジメント創造学部 教授 
関口 博正  神奈川大学 経営学部 教授 
長田 三紀  全国地域婦人団体連絡協議会 事務局長

(座長)
新美 育文  明治大学 法学部 教授 
西村 暢史  中央大学 法学部 教授 
西村 真由美 公益社団法人全国消費生活相談員協会 IT 研究会代表

個人的な感想

大学の教授の方々が多いですね。
企業からは日本総合研究所と野村総合研究所の方々のみみたいです。
全国消費生活相談員協会や全国地域婦人団体連絡協議会の方もいらっしゃるみたいです。全国消費生活相談員協会はいち消費者としての声を代表しているのかなぁ。全国地域婦人団体連絡協議会もそうなのかなぁ…。それなら、若者の声を代表する人がいても良いような気がするんやけど。
あと、通信業者の人がいないのはなんでなんだろう?こういった研究会の場合、当事者に当たる人は加えないのかな。個人的にはキャリア3名とMVNO業者代表2、3名くらい加えても良いと思うのだが、どうなんだろう。その方が、机上の空論にならずにある程度現実的な検討や提案ができるのではないかと思うのだが…。

最後に

個人的には日本の携帯電話料金はMVNOサービスが実施でき、十分に低料金になってきたと思います。フルMVNOなどMVNO事業者に対してもっとキャリア側が寄り添ってあげると市場も活性化して面白くなると思いますが、そこは、今回の研究会での報告に期待しています。

なので、個人的に研究会に求めているのは、低料金化ではなく、未来を見据えて、モバイル市場をもっと面白くするような提案を期待しています。あと、モバイル市場だけじゃなく、インターネット回線市場にも「事業者間の公正競争」について議論する研究会があればと良いと思います。

できれば、これからもウォッチしていきたいと思います。(自信ないけど…。)

※1:  [菅官房長官の「日本の携帯電話料金は高い」は説得力ゼロ――総務省の調査後に各社が料金改定。日本は「中位レベル」に \- ITmedia Mobile](http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1809/07/news063.html)

「携帯電話料金は4割値下げできる余地がある」という菅官房長官の発言を受けて、様々なメディアの人から「やっぱり、日本の携帯電話料金は高いのですか」という質問を受ける。一般紙などは、思いっきり「日本の携帯電話料金は割高だ」と書いているのだが、実際、彼らはちゃんと調査しているのか疑問が残る。